経営課題

当節では、弊社アドバイザーが質疑応答フォーマットにより、いくつかの検討すべき課題をご提案します。企業は、経営環境の変化がビジネス・モデルに与える影響ならびに自社経営戦略の重要性をもっと認識する必要性があると考えます。また投資家が、ダーウィン進化論でいう「適者生存の原則」に則り、企業を評価していることも忘れてはなりません。以下ご参照ください。

 

経営課題

米国 – トランプ新大統領政策の影響分析

保護主義色が濃いトランプ大統領の通商政策が持つ重要な意味とは?
トランプ大統領は、今やアジアに集約したグローバルな製造拠点の心臓部に狙いを定め、 現製造体制の調整を目論んでいます。 特に日本企業は、米国向け製品に高関税がかけられた場合、損失を被ることになります。 日本企業は生産拠点を中国、タイ、マレーシア等に置いており、 各国政府より優遇措置を受けています。 もし、米国の主要企業が当地域より製造を引き上げ米国に戻すなら、 この地域には、ある程度の空洞化が起こり、日本のメーカーの受注高が大幅に減少するでしょう。

2017年4月

それでは、各企業は米国の保護主義にどう対応すればよいのでしょうか?
直接投資により、一部の製造拠点の米国移転を真剣に考える必要があります。台湾の鴻海精密工業、トヨタ、ソフトバンク等の企業は、既に米国への投資を公約しています。他の企業も彼らの動きに追従する可能性があります。

2017年4月

米国移転の際の課題とは何でしょうか?
まずは米国の高い人件費です。 初めて米国に進出する企業はゼロから広い地域をカバーするサプライ・チェーンを構築する必要があります。 拠点の移転は、いたく簡単に聞こえますが、サプライ・チェーンが極めて複雑化したり、 生産工程が労働集約的になる場合があります。 そのため、関係する部品・サービスの供給業者もすべて移転を要することもあります。 この際の課題は、適切なコストで適切な人材を見つけ、すべて供給業者が集結できる場所に移転することです。 同時に、アジアに広がる既存の工場を閉鎖することは、 地元政府の反発を呼び、最悪の場合、将来、再参入を拒否される可能性もあるでしょう。 「メイド・イン・アメリカ購入」政策のもとでは、 一部のアジア政府が経済成長の次なる推進役と掲げる航空機等の成長産業が、 大きな打撃を受ける可能性もあります。 しかし、将来も米国が引き続き航空機の世界最大の市場であることは議論の余地はありません。

2017年4月

米国に移転する場合、どの地域が適しているでしょうか?
企業が米国に移転する際は、主に物価が安い地域を選んできました。適切なコストで良質な生活水準が約束されれば、企業は、優秀な人材を呼び込み引き留めておくことができます。そこなら、従業員は稼いだお金をさらに生かすことができるからです。 2016年末時点の住宅用不動産の対前年価格上昇率を見ますと、上位5都市は下記となっています。
1. ワシントン州シアトル   10.4%アップ
2. オレゴン州ポートランド  10.1%アップ
3. コロラド州デンバー     8.7%アップ
4. フロリダ州タンパ      8.1%アップ
5. テキサス州ダラス      8.1%アップ
(データ:ケース・シーラー住宅価格指数2016年11月)
その他価格が上昇した主要都市は、
アリゾナ州フェニックス
ノース・カロライナ州シャーロット
テネシー州ナッシュビル
ユタ州サルト・レーク・シティ
テキサス州オースチン
ジョージア州アトランタ
カンサス州カンサス・シティ
等です。
高い雇用成長率及び企業の需要に答える人々が引っ越しきて、住宅需要がさらに高まりを見せています。これから、施設や工場等を建設する企業は、上に挙げた都市が、中心となる人材の獲得に最適な場所だと評価するでしょう。

2017年4月

税制改革についてはどうでしょうか?
各社が米国にグローバル統括本部を戻すことにより、 株式市場、雇用創造、経済成長に波及効果が生まれるしょう。 税優遇処置により、大量の資金が米国に還流し、 その一部が、特別配当金として株主に還元されることもあるでしょう。 しかし、米国に還流した資金は、国内の工場、研究開発施設等の建設など、事業インフラの充実に充てられることもあります。 これにより、質の良い職が創造され経済成長が加速されます。 更なる利点は、手持ち資金が増えた銀行が、金融規制緩和に歩調を合わせて貸出を強化することです。 そうなれば、不動産市場は後押しされ、さらに拡大することになるでしょう。

2017年4月

米国の経済成長の状態を判断する際、注目すべく指標は何でしょうか ?
金利とインフレ率です。具体的には、10年物米国債の利回りと消費者物価指数です。 2016年を終えて、米国は8年連続で経済成長を達成しました。 この傾向は、2017年、2018年も継続する可能性があります。すなわち、10年間連続の経済成長が見えてきます。 10年物米国債の利回りは、(4月11日現在)2.3%前後です。 今後、インフレ率がこの利回りを上回れば、 米国中央銀行(連邦準備制度)の施策が後手に回っていることを意味します。 今年、年3回から4回の利上げの市場期待とは別に、 私たちは、今年の金利は、4%、5%をかなり下回ったレベルに留まると見ています。 過去振り返って、このレベルに最後に達していたのは、2008年リーマンショック前夜でした。

2017年4月

企業を比較検討する際、投資家はどこに注目すべきでしょうか?
内向きになる米国が打ち出す施策を好機と捉える企業が打ち出す方針とその実行です。 投資家は、絶えず企業の米国市場における拡大戦略を注視していくでしょう。 先に提案しましたように、一つの施策は、直接投資でしょう。 また選択肢の一つは、大きな投資を避け米国内でカギとなるパートナーシップ(事業提携)を構築することです。 今後、企業にとって重要なことは、投資家の不安の払しょくするために、 対米国戦略を明らかにし、来る数年、世界経済の成長原動力である米国に事業をコミットしていく姿勢を示すことです。

2017年4月

対処すべき課題

現在、日本株式会社が直面している問題は何でしょうか?
自信の欠如、リーダーシップの危機、および将来ビジョンへの不透明さが揚げられます。バブル崩壊以来の景気停滞は、企業心理に大きく影響を及ぼしてきました。企業はよりポジティブな態度を取り、もっと長所をアピールすべきです。素晴らしい技術、大変良い勤勉性そして、中国・インドなど世界の最も成長力ある地域との近接性を強調すべきです。企業はまずより楽観的にならなければなりません。そして戦略を調整し、将来の成長プランを明確にしなければなりません。このような刷新されたビジョンのもとに、日本株式会社は飛躍的な進歩ができるようになり、世界のリーダーの一員として復帰できます。

2010年7月

製品の欠陥など最近の事例から何を学べますか?
即時対応の必要性および現行ビジネス・モデルの再検討を要します。時々、企業は外部との情報伝達を遅らせて、指摘された欠陥がすぐ忘れ去られることを望んでいるようです。あいにく、メディアは事実を大げさに伝えるとともに、悪い材料ほど有無を言わせないほど速く伝達されるのが常です。そのため、企業は偶発事件の危機対策を準備しておかなければなりません。また、適切な対策がとられたことに対しては、関係者を安心させるためにもメディアと対峙する必要性があります。メディアと外部関係者は、株価に悪影響を与える悪い材料を隠そうとする企業を許さないでしょう。今日の製品欠陥の原因のひとつは、ビジネス・モデルとも関係する事項として、より多くの製品に共通部品が使われていることです。サプライヤーが限定されるなか、多くの製品への影響を少なくするには、品質管理がより徹底されなければなりません。

2010年7月

日本株式会社の最近の巨大増資はどうですか?
発行株数の供給過剰とそれによる1株当り利益の希薄化が問題です。従来は時価総額の20%程度が増資規模の上限でしたが、最近は40%位までの増資規模拡大により、業界の常識とモラルを崩したようです。これにより、国内外の既存株主の反発を買う可能性があります。企業はもっと一貫性のある株主還元方針を示すべ きです。このような資金調達が、建前としては設備投資拡大等の成長戦略だと言っても、実体は傷ついた財務状況の修復だと市場関係者はすぐに見抜いてしまいます。実体を説明のうえ事実を公表すれば、効果的なIRとしてむしろ評価されると思います。参考事例として、自社株買いを実施している企業は現在では大いに評価されています。

2010年2月

 M&A関係

株式持ち合い、第三者割当増資(=私募)などの非公開取引は、どのような意図があるのでしょうか?
外国企業も数多く実施しています。技術提携、関係強化等の意図もありますが、極端な場合は、厳しい経済状況を乗り越えるためのM&A(=買収・合併)対策とも考えられます。企業価値向上へ貢献しているという論理のもと、株主としては一該に反対できない側面はあります。

2010年2月

物言うファンド等による敵対的買収は何が原因でしょうか?
敵対的買収が発生する場合、何らかの意図があります。グリーンメーラー(=株式引き取り要求投資家)を除けば、買収対象企業に対して、非効率的あるいは逆に非常に価値ある存在と判断していると考えられます。買収、企業再編等のきっかけは様々ですが、IR活動の不十分さが起因している事例が多く見受けられます。企業が必要とされる情報を適切に公開していれば、関連する業界(=会計基準審議会、投資家、取引所など)から高く評価されます。それにより企業の株価も適正に評価され、結果として敵対的買収先としてのはメリットは大きく減少します。

2010年2月

ポイズン・ピル(=敵対的買収防止策)とはどういうことですか?
ポイズン・ビルの原理は、買収者以外の株主に新株を安価で取得できる権利を付与するものであり、株主総会決議に基づき導入可能です。ただし、取締役会などで経営陣が株主の支持なしに敵対的買収防止策を導 入すれば、問題が生じる可能性があります。 株式関連以外の対策もありますが、株主の権利保護を第一に理解してください。

2010年2月

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